2016年11月20日日曜日

【第十四回】 侯景の乱始末記 【中国史】

ほぼ二か月ぶりの更新は、侯景の乱始末記です。
既に絶版ですし、40年以上前の本ですので、中古本屋でいつも探していましたが結局、財力に物を言わせてアマゾンでポチってしまいました。


中国南朝、梁の始祖、武帝による平和が一瞬にして灰塵に帰すというショッキングな事件を題材にしています。内容的には、漢詩などの引用も多いのでその辺の素養が多分にないと、ちょっと読むのに疲れてしまいますね。没入感という意味では、ちょっと減点。さらに、3篇に分かれているのはいいのですが、後梁の扱いがちょっと中途半端なので、読後感も少しスッキリした感じにはなりませんでした。


一番の読みどころは武帝と賀琛の問答でしょうか。
社会の腐敗を訴える官僚を、個人的な清廉さで反論する武帝とのやり取り、このすれ違いが結局は大きな破綻へと負的に発展してしまったんでしょう。


「政治とは不快な決断が必要で強い精神力が必要」「武帝は不必要に長生きしてしまった」とは、宮崎市定翁の指摘ですが、まさにその通りだなぁと感じる次第でした。


2016年9月10日土曜日

【第十三回】 時間の分子生物学 【生物学】

 今回は少し趣を変えて、睡眠についての新書を紹介します。


 たまに時間について、不思議に思うことはありませんか?
 僕が時間に関していつも不思議に感じることは二つあって、一つは、腕時計をしている時に、何気にパッと見た瞬間、秒針がとまったのかなと、あれっ?っと、かなり訝しく感じるような感覚に陥ることがあることが一つ、そしてもう一つは、五月蝿い目覚まし時計を仕掛けておいても、目覚ましが鳴る数分前に目を覚まして、目覚ましを止めることが出来ることが結構あるということです。(そんな時は、えてして、結局二度寝して、えらい目に遭う)


 この本では後者の現象の不思議についても語っています。とにかく、睡眠は、当たり前のようでいて、非常に謎が深い現象のようです。どうも睡眠とは、単に体を休める以上のもっと積極的な高次の機能であることが、この本からわかります。ザックリと所感を述べると、睡眠は単に休むというよりは、体と脳のメンテナンスを行っているというイメージですね。


 人間、いつまでも若くありたいものですが、そのためには、睡眠というは、免疫系などにも密接な関係があるようで、睡眠が体に備わる自己メンテナンス機能に絶対的に必要なこともわかります。レム睡眠中にみる夢なんかも、その日に起こった嬉しかった体験や怖かった体験などを整理して、脳のしかるべき場所に経験として納めて言っているのでしょう。ですので、受験生なんかが、受験前に必死になって睡眠時間を削って徹夜で勉強したりしますが、そういうのっていうのは、睡眠の積極的なメンテナンス機能から考えれば、かなり効率が悪いんでしょうね。睡眠時間だけはしっかりとって、寝ている間に記憶を整理していく機能をフル活用したほうが、恐らくは効率が非常にいいのだろうと思います。


 この本に関して言うと、後半に出てくる「オレキシン」という脳内物質が非常に印象的に残ります。この物質一つで、食欲と睡眠に大きな影響があるという記事です。よく、お腹がすいて寝れないことがありますし、逆に、お腹が空いている空腹感というのも、ずっと我慢していると気にならなくなってくることが実感としてあります。これなんかも、空腹を感じされるオレキシンという物質が出て、覚醒を促すと同時に、ずっと覚醒し続けても、体をメンテナンスしないわけにもいかないので、オレキシンの分泌が一旦は終わって、空腹が気にならなくなって眠れてしまうという現象と非常にピッタリ理屈に合うと思います。


 まぁ、ちょっと長くなりましたが、この本は、単に知的好奇心が満たされるだけでなく、自身の「健康寿命」を伸ばすこともできるようになるじゃないのと思わしてくれる良書ですね!



2016年9月3日土曜日

【第十二回】 ローマ帝国 -その支配の実像- 【古代ローマ】

 読書案内の第12回目は、ローマ帝国についての本です。


 といっても、これは少し羊頭狗肉の本といっても過言ではありません。新書一冊でローマ通史について語ることは不可能ですし、それは著者の力量の問題ではなく、分量の問題です。そもそもが、この本は、ローマ「帝国」について語るとっているのに、主題としている時代は共和制ローマの話なのです。それが、なぜ「帝国」についての話になるのか、つまりは、ここには作者のレトリックがあり、ここでいう帝国とは、「帝国主義」という場合の帝国なのです。「覇権主義」と言い換えることも可能です。つまり、このタイトルから言いたいことは、共和制ローマといっても、十二分に覇権主義国家の性格があったということなのかもしれません。事実、この本は、共和制ローマでの「命令権(インペイリム=インペリアリズム・帝国主義の語源)のあり方」が主題ですので、これは作者による意図的な「羊頭狗肉」と言えます。
 この本は、表題の付け方にも表れているように、「共和制と言いつつ、実は覇権主義だった」というような告発本の要素もあるように思うので、ある意味少し「左」のかかった本で、それはそれとして、ある資料を論拠に、それ(命令権の原始的な姿)を非常に明確に論証されていくので、それも教養的には非常に面白いのですが、実はそれを論じるための資料が出色の出来なのです。それは、ローマ通史のようなものとは、まったく違います。実は、この本は、雄弁家として高名なキケロによる「ウェレス弾劾演説」の解読本なのであります。そして実は、このウェレスを弾劾する裁判でのキケロの用意した周到な訴訟資料が、なんとも非常に面白いのです。ここでは、ウェレスは一言でいうと、シチリアでの悪代官なのです。この悪代官はたいそうな剛の者で、元老院の日程調整や人事を賄賂の実弾にて動かし、何とかキケロの追及を逃れようとします。そして覆い隠さるべからぬ悪行を、キケロがローマの法廷にて暴いていく、そういう勧善懲悪の胸のすくストーリーがあるのです。正義感に沸き立つ若手政治家と、老獪極まる実力者、その対立の熱いストーリーを資料として、当時おける「支配の構造」を分析しようと試みる筆者。筆者の冴えた筆致も手伝って、当時の支配の実像が、際立って立ち上がってくるようです。
 古代ローマは、材料としては日本人好みであり、巷間にはたくさんの面白い本があります。本書は、内容的にかなりマニアックで偏っているところがあるので、古代ローマについて、初めて読むのには全く適していないと思いますが、塩野七生女史のローマ人の物語などで、ローマについて興味を持った人なら、その次に読むのに非常に適していると思います。



2016年8月29日月曜日

【第十一回】 神崎正哉の新TOEIC TEST ぜったいリスニング 【語学】

 ちょっと箸休めに本のレビューもしてみよう。今回は、Toeic listening 対策の本です。


 といっても、僕は基本いい加減な性分ですので、どうも模擬テスト形式で短い大量に聞かされていると、どうも「それ用に勉強している感」が高くなりすぎて、なかなか手が伸びなくなり、結果、たいてい途中で投げ出しいます。まぁ短期間で点数を上げるというような明確な動機が強いならもうちょっとマシだとは思うのですが、個人的な環境もそうでもないので。。。


 内容的には、割と平易なテキストのようなので、すでに800点とかある人には無用の本にはなりそうですが、逆に言うとそれぐらいまで到達していない人には有用な本ではないかと思います。本書の特色は、なんといっても一冊24話分、話が裏ではしっかり繋がっていることです。といっても、一つの物語が連続していくのではなく、とある夫婦の仕事やプライベートについてのお話が、同時進行で、24回分進んでいきます。


 まずは一回、テストと思って、24話分、課題をやってみて、本当の使い方はそこからだと思います。あとは、基本的にテキストはどっかに放っておいて、ひたすら流して聞いていくような本だと思います。実際のところ、この種のテスト対策本を読書レビューに取り上げるのはちょっと変なのですが、けど、何度も聞いているうちに、なんとなく、Unit毎のつながりがなんとなくわかってくるのです。そのUnitだけ聞いているとわかりませんし、Test対策のためだけなら、わかる必要もないかと思います。けど、あれ、そういえばあの時に言っていたなーっと聞き流している内に思い当たってしまうのです。思い当たったら、だから何だということなんでしょうが、馬鹿なもので、どうでもいいことでもわかると何故かと嬉しいものです。結構そんなことが多いので、ついつい何度も聞いてしまうという次第。




 何を言っているか、よくわからないと思うので、一つだけ例を挙げると、最終話で、旦那が嫁にカリビアンクルーズのチケットを渡すのですが、それは、第三話ぐらいに、寒いところに行くのは嫌だわ的なことを、その嫁が夫の携帯の留守電に入れていたりするんです。まぁそんな感じで、内容的にも結構日常感が溢れていて良く練りこまれた本だと思います。是非、学習ついでにメイソン夫妻の忙しい一週間を聞いて見て下さい。



2016年8月11日木曜日

【第十回】 ふしぎな国道 【その他の本】

第十回は、「国道」に関する本を取りあげよう。


 奈良県民たる著者は、県内を車で運転するに当たり、度々にこりゃひどいなと思う国道に出会っていた。大和高田市内の一方通行の166号線や、有名な308号暗峠などである。吉野や十津川に温泉に行く際などは特に、これはこれは、はぁ、これでも国道ですかwwwというレベルの国道に頻繁に遭遇する。一方で、25号線、名阪国道はほとんど無料高速のようなもので、奈良県から東に出るには、カーブはキツイがコスパは最強である。どうして同じ国道というカテゴリーでここまで大きく差がでてしまうのか、なんとなく釈然としないものを常日頃から感じていた。


 そんな折、書店で偶然見つけてしまったのが、本書である。階段国道や、ダートな国道など、カラー写真つきで、紹介されており、世の中には物好きもいるものだと、つい購入してしまった。


 読みだしてみると、国道のみちは、実に深い。自ら好事家を自認する著者がその興味の趣くままに、軽快な筆致で日本各地の珍国道(酷道)を紹介してくれている。本書冒頭にある通り、本書は世の道路行政に警鐘をならすような、ある意味とってつけたようなお説教は一切ない。ただただストイックに国道というカテゴリーの中に、我々が普段の想像を超える豊富な内包が存在することを興味本位で紹介していく。著者にとっては、国道という世界はある意味ディズニーランドようなアトラクションを豊富にそろえた特別な遊園地であり、思わず人に紹介せざるをえない楽しみをもつのである。率直に言って、一読書である僕も、その熱にやられてしまい、読み進めるうちに、旅行ガイドブックを読む時ような一種の昂揚感があったことを告白しよう。しばらくは著者と一緒にその地で楽しむのもよいかもしれない。


 幸い?にも、奈良県は酷道の宝庫であり、去年は本書の影響で、日本三大酷道との呼び名もある425号をドライブした。確かにこれは、一種の冒険的要素もあって、ワクワクしてしまう気持ちがよくわかる。基本、好事家精神で傍目は酔狂なところではあるが、各地に走る国道は、その由来を考えていると、もちろんこの国の生い立ちを考えることにも直結してくのである。まぁ、やっぱりご高説は、止めにするとして、日本の道を楽しむための絶好の案内図書として、見かければ是非手にとって見て頂きたい本である。




 

2016年8月6日土曜日

【第九回】 重力とは何か 【物理学】 

第九回目に取り上げるのは、幻冬舎新書、大栗 博司 先生の著作、「重力について」です。


ほぼ数式なしで、相対性理論から量子力学までひとしきりの説明がなされているのは、見事の一言に尽きます。相対性理論については、アイシンシュタインの考えの筋道をだどってくれているので、まさしく膝に手を打ってわかるというレベルの分かりやすさです。


僕は数学的なところは、早々に諦めてしまった完全な文系人間ですので、後半の肝心の超弦理論については、さすがに置いてきぼりを食らってしまいましたが、それでもなんとなくイメージが湧きました。読ませ方一つでズブの素人にイメージが湧いてくるのですから、著者の腕前は相当なものです。


素養がないだけに、なかなか賞賛の言葉も紡ぐのが難しいですが、とにもかくにも、夢中になって読める本ですし、読み終わった後には、この世界についてなんとなくアウトラインというか、概略がわかってしまったような気持ちになれる、すがすがしい一冊かと思います。


思わずいろいろ語り出したくたくなるので、読後の翌日の職場では要注意です(笑)







2016年7月30日土曜日

【第八回】第一次大戦はなぜ始まったのか【近代史】

第八回は、長い題名のこの本である。


歴史ある事件の「何故」を問うということは、どうしてもその事件の「前段」を知るということが不可欠になってくるし、ある意味その「前段」がわかればその「何故」も自然にわかってしまうことが多い。


第一次世界大戦については、教科書にはオーストリアの皇太子が暗殺された「サラエボ事件」を契機に全面戦争が始まったと書いてある。オーストリアとセルビアのイザコザで、ドイツとフランス、ロシアが戦う羽目に陥るのである。そうなれば、ドイツとオーストリアの関係を掘り起こすところから始めないと、何故にはたどり着けないのである。


そういう意味で、本書はその表題にも関わらず、「何故」第一次世界大戦が起こったか、という問いへの応答は、実は直截的には記載が見当たらない。実際それを本書に求めると肩透かしに遭う。
ここにあるのは、「如何」に始まったかという詳細な事実の積み重ねである。


私がこの本を手に取ったのは理由があって、現在、まさに「ブルーチーム」「レッドチーム」と呼ばれるように両陣営に分かれてのイザコザが始まりかけているからである。
日本では、「先の大戦を痛切に反省して、、云々」という言説をよく見かけるが、これは、第二次世界大戦のことを言うらしい。しかし、第二次大戦は、一次大戦後にできた枠組みの反発にほからないのであって、本当に世界大戦について真因にたどり着くには、どうしても第一次大戦の契機について考える必要があるのではないか。


また現在の日本の立ち位置を考えても、自ら孤立に嵌まり込んでいった第二次世界大戦よりは、第一次大戦の当時のほうが近いものがあるのかもしれない。


本書は小さな事実の積み重ねが多く、人名も正直、日本人には覚えにくく、お世辞にも読みやすい本とは言えないかもしれない。アマゾンの書評にも悪文とある。それでも誰も望まない戦争が如何に始まったかを知るには、よい本かもしれない。何故は自分で考えるための資料として一読されるのも一興ではないだろうか?











2016年7月17日日曜日

【第七回】 千字文 【語学】

さて、バランス的に今回は、語学の本の紹介、中国語の
テキストとして、「千字文」を紹介いたします。


お勧めしたいのは、中国語の勉強を一通り勉強し終えた
レベルの方、中国検定なら3級合格レベルから2級を挑戦して
いるぐらいのレベル方にお勧めです。


千字文は、何がいいかといいますと、それが日本に初めて到来した
中国語のテキストでもあるという点です。


https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8D%83%E5%AD%97%E6%96%87


その辺の薀蓄はWikiでどうぞ。
何しろ、千字文は、中国語(漢文ですが)の初学者のテキストなのです。
漢字到来の際の日本人が勉強した教材をそのまま使うって、
何かトキメキませんか?(ませんよね?たぶん著者が異常です。)


それともかく、千字文がよいところは、そこに中国典故が惜しみなく
盛り込まれているところです。


ピンインを調べながら、読み進めれば、言葉の背景にある文化から
勉強することができるのです。岩波ならそれを格調高い小川環樹博士の
解説付きで読めるのですから、学ぶ楽しみ、ここに至れりといった感がありますね。


ちょっと妙なテンションになりましたが、それほどにお勧めなのです。







【第六回】 高橋是清 【日本近現代史】

今回取り上げたいのが、だるま宰相、こと、高橋是清です。


高橋是清翁はとにかく波乱に満ちた生涯を送っているので、ストーリーを作りやすいことも
あるのか、最近はNHKのドラマで彼が主人公になったりと、
翁への再評価というものが進んでいる表れなのかなと思っています。


「財政家」として活躍し、たびたび日本の窮地に現れた翁ですが、
最後は、日本軍部への膨張に抵抗したことによって、2.26事件にて凶弾に
斃れて終わります。


そんな高橋是清翁ですが、私が読んだのは、中公新書の一冊。


翁の人生の劇的な終着点、そこに至る過程を一つ一つおさえていくためには、
日本近現代史の背景への理解が必要ではありますが、
仮にそんなハードルは全部なぎ倒しながら、遮二無二ながら読み進めたとしても、
十分、翁の波乱の人生と、その健全な人生観には、共感できるところが多いかと思います。


財政家としての彼の活躍を描いているので、当然その方面から日本の近代化を
通史的に見れることも本書の特色といえるでしょう。




2016年7月10日日曜日

【第五回】  史記  【中国史】


第五回は史記です。

中国の歴史はこの書から始まったといえる、中国史において
最重要の書と言って差し支えないでしょう。

概説としては、貝塚茂樹博士の中公新書がよろしいでしょう。
冒頭から、文選にもある「報任少卿書」を小説仕立てにして
紹介されており、グイグイ引き込まれていきます。


くさい言葉にはなりますが、ここにはヒューマンドラマとしか言いようのない
物語があるのです。その点、もっと堪能するなら、歴史書ではないですが、
小説家 中島敦の「李陵」がよいでしょう。


それから、忘れることができないのは、我らが宮崎市定翁の「史記を語る」です。
読後感の爽やかさは、吉川忠夫の名解説と重なって、翁の著作の中でも
屈指のものがあるように思います。

史記はなにせビックネームの書ですから、関連書籍も数限りなく
あるはずです。未読の人は是非一度手に取ってみてください。


















2016年7月9日土曜日

【第四回】 無限論の教室 【哲学】

 第四回は、少し趣を変えて、哲学者 野矢茂樹の「無限論の教室」を紹介したい。


どうも哲学というと重苦しい語感があるのだが、氏の哲学書に関しては、あくまで知的好奇心の発露というか、まぁ、きわめて軽妙で読みやすい。その中でも特に出色の出来といえるのが、頼まれもしないのに個人の趣味で書き上げてしまったという本書である。


 本書の内容のほうはというと、数学と哲学の狭間、数理哲学が守備範囲となるのだろうが、実は、そんなことはどうでもよく、あくまで「考えること」の楽しさが満ち溢れている一書である。もちろん、実生活においては特に必要があるわけもなし、ここにあるのは、極めて純度の高い、「分からないこと」への挑戦といえよう。
 哲学とはそもそもそういった学問であるかもしれない。



【第三回】 大人の英語発音講座 【語学】

語学系の本も紹介しておきましょう。
まずは英語の本ということで、とりあげるのが、
「大人の英語発音講座」です。


さて、日本の英語教育、中学校から大学まで全部で
10年習っても、一向に話せる気配がありませんね。


それはもちろん、実践でつかう機会が少なすぎるというのも
ありますが、そもそもが日本語と英語の距離が離れすぎている
ということが大きな原因としてありそうです。


そのあたりの事情が結構分かりやすく説明があるのがこの本なのです。


アナニア、アナナネ(グ)


この英語、わかりますか??
実はこれ、 An onion and an egg. を「日本人の耳」で聞いたもの。


日本人の耳はどうしてもこう聞こえるように「出来上がって」
いるんですねぇ。


そんなこんな事情が分かりやすく書かれています。
英語リスニングが苦手な人には必読書です。



【第二回】 古代エジプトうんちく図鑑 【世界史】


 第二回は、奇書といってもいいでしょう。古代エジプトうんちく図鑑であります。
 古代エジプトって、学校で触った程度で、そのままという方が日本人の99%でしょう。
が、それをそのまま放置するのはもったいなすぎます。歴史の古さから言って、人類の文明・歴史は、メソポタミアかエジプトのあたりから始まってる可能性が高そうなんですよ。まぁ一元論ですね。


そういう意味では、エジプト文明について、これだけの古い時代のものがこれだけ残っているのはスゴイことなんです。日本で最古級の文物といっても弥生時代ぐらいまでのもんでしょう。せいぜい2000年です。縄文時代については、個人名が特定できるような文物が出てくるなんて、考えることもできないわけです。それがエジプトでは普通にBC3000年とかありますからね。5000年前です。すごいです。キテます。





 そういったわけで、素人マンガ調で、面白おかしく超絶DEEPなこの一冊、お勧めしないわけにはいかない。

【第一回】 大唐帝国 【中国史】

 読書のレビュー第一回は宮崎市定「大東帝国」


 日本の中国史家で、最後の大物ともいわれる宮崎市定。読んで楽しい歴史本の代表作といっていいでしょう。僕は、背表紙が壊れるぐらい何度も読みました。紛失以外で2冊目が必要な本は、この本ぐらいなものです。


 大唐帝国と書いてはいるものの、副題の「中国の中世」とあるように宮崎翁の考える中世全般についての概説・通説の書というのが実態ですね。後漢末から三国志、魏晋南北朝、隋唐、五代十国まで射程にはいっています。
 その中には、残酷物語もあれば、悲哀に満ちた物語もあり、そして蓋世の英雄たらんとした武将や非運に泣いた名臣、さらには、自己一身の利益のためだけに動いた悪者まで、さすが中国史といった人間ドラマに溢れています。


 これが史実で歴史なんだから、タマラナイです。